どうする?土地活用など不動産の活用
土地や建物を持っているけど、どうしてよいかわからないという方。その土地や建物どうしますか?通常考えられるのは、
- 銀行に相談
- ハウスメーカーに相談
- 不動産会社に相談
- 税理士に相談
- ディベロッパーに相談
といったところでしょうか?それぞれ、その筋の専門家です。ディベロッパーやハウスメーカーは建築の専門家。銀行や税理士はお金の専門家、不動産会社は建物と建物や土地の専門家です。
ディベロッパーや住宅メーカーに相談した場合、間違いなく建物を建てることを進めます。それでよければ良いのですが、自宅として必要で建設費が問題なく払えるとか、賃貸住宅(アパート、ワンルームマンション、シェアハウス等)を建てて利益がちゃんと出るとか。賃貸住宅の収支がうまくいくか事業計画を立てると思うのですが、その事業計画は、果たして信用できるものなのでしょうか?2018年にあった「かぼちゃの馬車」事件では、楽観的な事業計画でサラリーマンや地主をその気にさせ、実際には、様々な数字を捏造し、うまくいくように見せかけていたことが発覚しました。このように、建てるのが目的の業者に相談した場合、土地や建物を有効活用するのが目的だったのが、いつの間にか建物を建てることが目的となってしまい。結果的に相談したものが大きな損害を被ることになってしまいます。
そして、銀行や税理士に相談する場合はどうでしょう?銀行の場合、先のディベロッパーやハウスメーカー、又は工務店を紹介してくれるのではないでしょうか?その先は、先に述べたようなことになるでしょう。税理士の場合、建てた場合どのようになるかのノウハウは持っていないので、そのままか、売却か、購入かということになるのではないでしょうか。
不動産会社の場合は、少し違ってきます。もちろん不動産会社の力量によっても様々でしょうが、売却、購入、賃貸物件の建築等、いくつかの選択肢を提示してくれるかもしれません。
こういった中で、どれかが成功し、どれかが失敗しますが、それを判断して選択するのは、どの業者よりも専門知識の少ないあなたになります!?
誰を信用しますか?
- CMなどでよく見かける会社、有名な俳優さんが出ているとなんだか信用してしまいませんか
- 何度も何度もしつこく、営業マンが訪れてくる会社
- 一番、声の大きい方
このようなことで判断しては、いけないとはわかると思いますが、誰が良いかわからなければ、こういったことに左右されそうです。
どういった方向に進めばよいのか?実はだれもわかりません。それぞれの立場の方が、自分の分野の中で仕事をしているだけです。
持っているヤギ(資産)の活かし方
不動産といういろいろな絡みがあるものだから話が複雑になってしまうのです。もう少しわかりやすく考えてみましょう。仮に、あなたがヤギを手に入れたとします。以前、久米島に旅行に行ったとき地域のお祭りで抽選権をもらった時の1等がヤギでした。
さて、あなたは、このヤギどうします。そのままペットとして飼いますか。犬や猫を飼うのと同じように買ってきた餌を与えかわいがる。それも良いかもしれません。餌代がかかり収支的にはマイナスですけどね。今すぐお金が欲しいばあいであれば、手っ取り早くお金に変えるという方法もあります。ヤギを欲しい人に売っていくらかのお金が手元に残ります。因みに久米島では、ヤギが当たると、乳を搾り、それを飲んで、いづれ肉を食べるというのが、一般的なようです。多分、久米島の方の正解は、これなのでしょう。でも、東京から久米島に遊びに行った私に場合は売ることが正解です。
このように、必ずしもオンリーワンの正解はありません。というのが正解です。なんだかはぐらかすような言い方で申し訳ないですが、もう少し、正確に言うと、「そのまま飼いつづける場合」、「売ってしまう場合」、「乳を採っていづれ肉を食べる場合」について、それぞれシミュレーションをすれば、どれが正解かわかります。東京の人間がヤギを育てるのは、土地もないし、草を手に入れることもできません。むしろ売った方が良いです。しかし、久米島に住んでいる人の場合は、乳を採って肉を食うのが、フレッシュで良質な栄養を無料で摂取できるという点から、買い続けてヤギを活用するのが正解となります。
このヤギをどうしたらよいか精肉業者に相談すれば、スグに売って肉にすれば良いと言う話になったかもしれないですし、アルプスの少女に相談すればペットとして飼い続けることになったでしょう。確かハイジはゆきちゃんというヤギをかわいがっていました。
つまり、メリット、デメリットを理解したうえで。自分で判断するのが一番自分のためになる。しかし、不動産はヤギのように簡単ではないので、どうすれば一番良いのかいくつかのパターンをシミュレーションして説明してくれる人に相談するのが一番確かなのだと思います。それは、特定の立場の業者ではなく中立的にな立場の人に相談すべきです。
大切なのは、誰に相談か!?
客観的に中立的にシミュレーションをして説明してくれる人って、誰なのでしょうか?
実は、私自身、このことに気づいたのはごく最近でした。私は、設計事務所という立場で、設計・監理は行っています。以前は、他の設計事務所同様、銀行融資、税金、事業性などのお金のこと(以下、これらのお金のことをファイナンスと言います)は詳しくありませんでした。一般的な設計事務所は、ファイナンスのことよりもデザインや性能、使いやすさということの方が大切と考えがちです。減価償却のことを正しく理解している設計者はいないでしょうし、財務諸表を読むことができる設計者も少ないと思います。建築家や技術者が「お金よりも大切なものがある」という言葉は尊いかもしれませんが、ファイナンスの裏付けのない計画は、薄っぺらであるように見えます。
一方、不動産会社は、建築の設計事務所よりはファイナンスに関して詳しいでしょうが、建築については詳しくありません。
工務店、住宅メーカーなどは、建てることが目的であるため、最初に相談すると言うよりは、何をやるか決まってから参加するメンバーとなります。
正解は、ファイナンスに強い設計事務所
建築に強い不動産会社に相談すべきか?ファイナンスに強い設計事務所に相談すべきか?
正解は、ファイナンスに強い設計事務所と考えます。理由は、ファイナンスに関する検討は、建築の設計程は難しくないからです。不動産会社が建築のことを理解し、その土地でどのくらいの建物を建てることができるかのボリュームチェックをすることは不可能です。これはまったくもって建築設計者でなければできないことであり、設計者の力量によっても結果に差が出るくらい経験に基づいたノウハウが求められる作業です。
一方、ファイナンスに関する知識の大部分は、一通りの座学で、身に着けることができます。ただし、事業性についてのシミュレーションについては、一定の経験が必要になることから、設計者にとってもハードルが高いといえます。
ファイナンスに強い!かなや設計
多角的な視点からのアプローチが必要、しかもワンストップで!
将来について考えると、様々な分野の課題があることに気が付きます。年金、住宅、親の介護、または地球温暖化、首都圏に今後30年以内に70%の確率で来ると言われている大震災、挙げればきりがありません。
インタ―ネットで調べればあらゆる分野の不安のバリエーションを知ることができ、更に、その一つ一つを掘り下げ更に不安の無限ループにはまっていきます。
まじめな人ほど、これらの不安要素の収集に怠りなく、神経をすり減らし、または、相当のコストと時間をかけ続けることになります。しかし、不安に対して無限に対応しなければならないものなのでしょうか?
ここでは、漠然とした不安をすこしでもはっきりさせ、不安を定量的にとらえ、少しでも減らすことを目的に私たちの生活の場である建築を題材にファイナンシャルプランを考えていきたいと思います。
まずは、建築を建てるときに考えるべきファイナンシャルプランについて、弊社での進め方を事例にお話ししていきたいと思います。
建物を建てる場合、その目的は、自分が住宅であったり、事業用の建物(店舗、事務所、工場、病院、福祉施設)であったり、または、資産運用や相続税対策のための賃貸物件(ワンルームマンション、アパート、シェアハウス、簡易宿所)でしょう。
これらの規模と工事費はどのように決まるのでしょう?
事業計画をたて、事業性が成り立てば、進めるということになると思います。これが会社としての事業であれば、これだけでも良いのでしょう。
しかし、経営者自身が株を持っている会社、比較的小さな会社、個人事業主、クリニックなどの場合、土地や不動産などの資産を持っている個人は、事業と事業主の関係が深いことから、自らのライフプランも含め事業性を考えることが必要になります。
逆読み工事費決定
そこで、弊社では「逆読み工事費決定」という方法を考えました。もしかすると既にどなたかが考え実践しているのかもしれませんが、一般的には事業を進めるためにという目的が優先され、建物の規模によって建設費が決まるパターンが多いかと思います。
「逆読み工事費決定」とは、まず事業主のライフプランを作成し、生涯にわたって無理のない返済から、どの程度の規模の事業が可能かを導き出します。
通常の工事費決定は、建物の規模を決めてから設計を行い、見積を出すという方法で、見積が出てから「えっ、こんなに高いの?」「無理!」ということになりがちです。そして、無理をして工事を行い、建物ができてから苦しい返済に苦しむことになりがちです。
逆読み工事費決定と通常の進め方を絵にしてみると次のようになります。

その他ファイナンシャルプランのこと
「逆読み工事費決定」の大体の考え方をご説明しましたが、具体的に進めるにあたっては、税金のこと、ローンのこと、様々な優遇制度のことを知らなければなりません。ここでは、少しづつですが、建築とは少し分野の違うことを勉強していきたいと思います。