- 建設地 :東京都の下町
- 構造規模:木造2階建て
- 敷地面積:55.04㎡(16.64坪)
- 建築面積:47.62㎡(14.40坪)
- 延べ面積:91.10㎡(27.55坪)
- 単 価:25.63万円/㎡(77.55万円/坪)
- 竣 工:2021年
東京の下町に建つ築100年の住宅。地域においても最古級の物件のリフォームです。
リフォームに際しては、主に二つのことを心がけました。
一つは、使われてきた建具、金物、外装材(スクラッチタイル、銅板)など、失ってしまえば二度と入手困難な建材を極力残すこと。
そして二つ目は、現代の住宅として求められる性能を確保する。
言い換えると
古きよき情緒の中で、安心して快適に暮らすリフォーム
を行いました。
耐震性については構造計算をし、現在の建築基準法に適合する耐震性を確保しました。また、柱が見える真壁の内装を残しながら、厚さ90mmの断熱材を壁に充填し、安心して快適に暮らすことができる。家になりました。
日本の家屋は、真壁(しんかべ)と言い、柱と長押(なげし)を壁面に現す内部の意匠となっています。ところが、これに断熱という現代の建物に必要な建材を入れ込むには、少々工夫が必要でした。
真壁(しんかべ)の表情を残すため、ちり(柱の面と壁面の段差)を確保しつつ、厚みのある断熱材を入れる方法を現場の大工と相談し、見え方を検討した結果、真壁でありながらしっかり断熱を確保することが可能となりました。
小さなこだわりですが、仮に、一般的な断熱工法である「充填断熱工法」(柱の厚みに断熱材を入れ、石膏ボードで室内側を塞ぐ)にしてしまうと、日本家屋の大切な意匠を実現することは不可能となってしまします。
デザインは細部が大切と言ったのは古今東西の建築家にいる通り、こういった細部の収まりは、ないがしろにできない部分かなと思います。
かなや設計 環境建築家 金谷直政