葡萄の長屋 別館
観光をエンジンに、⽊密地域の空き家を動かす
東京都墨田区の木造住宅の改修計画。木密地域の空き家を、旅館として耐震改修することで、外貨による地域の耐震化を実現した。空き家対策、地域の耐震不燃化、インバウンド、省エネ化など地域が抱える複数の課題に対して同時にアプローチした。

- 建設地 :東京都墨田区
- 構造規模:木造2階建て(改修工事)
- 敷地面積:36.38㎡(11.00坪)
- 建築面積:24.42㎡(7.38坪)
- 延べ面積:44.29㎡(13.39坪)
- 単 価:万円/㎡(万円/坪)
- 竣 工:2025年
新築として建替えれば容易に快適な空間を手に入れることは可能かもしれない。しかし限られた予算、諸条件の中で、空間を最大限快適になるような改修計画も、建築の解決策だと考える。墨田区の下町エリアには耐震性、耐火性、断熱性など課題を抱えながらも、建て替えが困難なため、そのまま使い続けている建物が多く残っている。計画した木造住宅も築60年以上が経過しており、一般的には建て替えが推奨される状態であったといえるが、改修によって昨今の住宅と同等の耐震性・省エネ性を得ることができた。

計画した建物は路地の奥にあり人目に付きにくく、敷地内には不法投棄のゴミもあった。防犯面からの不安も大きかったが、建物一部を撤去し、前面道路のセットバックを行うことで建物周辺の雰囲気はかなり改善された。1階は前面道路に面する掃き出し窓を配置し道路と室内との関連を強調し、2階は南北に視界が通るよう窓を配置することで、建物が抜け道のように感じる空間を計画した。

同地域で、すでに葡萄の長屋(旅館)を経営しており、その別館として計画した。建物を、現状のまま利用、賃貸として建替え、宿泊施設として改修など複数の事業計画のキャッシュフローを検討し、宿泊施設への改修が最も事業性が高いことを確認している。墨田区は成田、羽田の両空港からのアクセスが良好なため、旅行者向けの古民家等を利用した旅館や民泊が急増している。しかしながら、旅行者は宿泊料や立地のみで宿泊先を判断する場合が多い為、耐震性や省エネ性能は未改修のままで運営しているところも多い。


敷地はかつて池だったことから地盤が不安定で建物は沈下により大きく傾いていた。傾きの補正と同時に基礎の補強と耐震補強もおこない、想定される最大の地震に対しても十分な強度を確保した。元々、断熱性能の著しく低い建物だったが、断熱層を十分に設け、窓も全て複層ガラス(Low-E)に交換し、屋根には遮熱塗料を塗布した。更に太陽光パネル、エコキュート、蓄電池を設置することで、現代の基準にあった高い省エネ性を達成した。

工事前~工事中

【工事前】長い間、空き家だったことから建物の劣化が著しい。











